11月18日~2021年2月26日

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Special 2019.11.12 UP

【INTER BEE CONNECTED2019】企画セッション「視聴データが想像するテレビ広告の10年後」事前レポート

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左から、内山氏、松瀬氏、布瀬川氏、三上氏、半田氏

昨年のINTER BEE CONNECTEDでは、初めて視聴データをテーマにしたセッションが行われた。聴講者も多く集まり、立ち見も出るほどの盛況だった。今年はその第二弾としてさらにテーマを広げながら視聴データについてのセッション「視聴データが想像するテレビ広告の10年後」が行われる。視聴データの現状と課題を掘り下げながら、今後どうなるか、その未来像まで議論しようというものだ。コーディネートしたのは、電通のラジオテレビビジネスプロデュース局ビジネス戦略部長でありCONNECTEDのボードメンバーに加わっている布瀬川平氏。青山学院大学の内山隆教授にモデレーターをお願いし、昨年に引き続いてテレビ朝日・IoTVセンターに所属し在京5社視聴データサービス等推進会議主査も務める松瀬俊一郎氏が登壇。さらにHAROiD分社化で誕生したYourCast代表取締役社長の三上進一郎氏、ヤフー社長室長の半田英智氏も登壇し、視聴データについて多角的に議論する。放送業界にとって新しい領域となるこのテーマについてどんなディスカッションが行われるのか。打合せから垣間見えた様子をレポートする。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

ビッグデータとして視聴データにはどんな可能性があるか?

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モデレーターは、青山学院大学総合文化政策学部教授の内山隆氏

モデレーターを務める青山学院大学・内山教授は、総務省が主催する様々な会議体で委員などを務めており、放送業界を見守るご意見番だ。もちろん放送をめぐる制度などにも詳しい。打合せの場も内山教授が中心になって進行した。

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テレビ朝日の松瀬俊一郎氏はテレビ視聴データ利活用検討会事務局長も務めている

まずテレビ朝日・松瀬氏が、テレビ局がいまどのように視聴データを収集し活用しようとしているかを説明する。松瀬氏によれば、編成や制作部門においてよりよい番組づくりに活用できるとともに、「どんな人が」番組を見ているかわかることで、アドバタイザーへの細かな分析レポートに活用でき、経済の活性化につながる。視聴データが注目されるのもこの点が大きい。

統合マーケティングソリューションに視聴データが活用

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今年誕生した新会社YourCast代表取締役社長・三上進一郎氏

三上氏はYourCastの社長として、この新しく誕生した会社と視聴データとの関わりをプレゼンする。同社はHAROiDのiD/データ事業を継承し、さらに視聴データの横断的な活用を具体化していく。新たに親会社となったプレゼントキャストのTVerなど様々なサービスとも連携することで、視聴データの価値が大きく広がる可能性があることを示してくれる。

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データソリューションの先達としてヤフー社長室長・半田英智氏も登壇

ヤフーの社長室長・半田氏からは、同社が取り組むビッグデータ、及びデータを取り扱う上での注意している事などを話してもらう。ヤフーはビッグデータ活用について先んじて取り組んできた。先日も「データを他社にも解放する」と宣言し、データソリューションサービスを提供していくことがニュースになった。PayPayの普及で、今後は購買まで網に入れた大きなマーケティングデータの構築も視野に入っていることだろう。ビッグデータ活用の先人として、その扱い方などについて知ることができそうだ。

データが充実した世界にはどんな未来が?

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本セッションを企画した電通の布瀬川平氏が打合せを見守る

セッションでは登壇者からデータについてプレゼンしてもらった後、ディスカッションに入っていく。そこでは、ビッグデータ活用にどんな未来があるのかがテーマになりそうだ。
「データが充実している世界とは?」というお題を内山教授は投げかける。すでにマーケティングにおける視聴データの活用は議論が始まっている。広告主は、そして生活者に幸福がもたらされるのか?バラ色なのか?そういったテーマでのエキサイティングなディスカッションが期待できそうだ。
またデータ活用はマーケティングだけではなく、防災にも活用できる可能性がある。位置情報と組み合わせることにより、災害状況を素早く的確に把握できるかもしれない。だがその場合、個人情報との兼ね合いはうまくいくのかなど、論点は多々ありそうだ。
「視聴データが想像するテレビ広告の10年後」は、議論が始まったばかりの領域だけに、刺激的なセッションになりそうだ。聴講申込みが殺到し残念ながらすでに予約を締め切っている。予約済みの方も早めに行って良い席を確保したほうがいいかもしれない。きっとみなさんにとって収穫の多いセッションとなるだろう。

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