11月18日~2021年2月26日

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Special 2020.10.29 UP

放送業界のDXはどうシフトアップしているか?〜INTER BEE CONNECTEDアドバイザリーボード主幹・塚本幹夫氏インタビュー〜

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初めてのオンライン開催となったInterBEE。2014年にスタートした特別企画INTER BEE CONNECTEDも今年は基調講演と6つのセッションをZoomを使ったウェビナー形式で展開する。放送とネットやビジネスとの「CONNECT」をテーマにInterBEEのひとつの目玉企画になったこの特別企画でどんなセッションが行われるのか、アドバイザリーボード主幹の塚本幹夫氏にうかがった。筆者もアドバイザリーボードメンバーの一員として企画のお手伝いをしてきた。今年は企画会議もリモートで行ってきて、この取材もZoomを通してだったが、塚本氏の熱い思いが聞けた。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

TVerが放送局DXの軸。同時配信の場としても重要に

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境:今年のCONNECTEDのキーワードは何でしょうか?
塚本氏:「コロナ禍」と「DX」ということになります。ただこの2つはバズワード化しつつあり、踊らされてもいけないと思います。それぞれがどうシフトアップしてるのかを確かめてもらいたいですね。また、コロナにより大きく落ち込んだテレビの放送ビジネスをなんとかしないといけない。CONNECTEDを、そういうディスカッションのきっかけにしてもらえればと思います。アドバイザリーボードとして集まった優秀な企画メンバーに、知恵を絞ってもらってセッションを決めました。ぜひご聴講いただきたいです。
境:DXと言えば、その最たる存在がTVerですね?
塚本:立ち上がった時にはDXという言葉は使われていませんでしたが、TVerはまさに放送局のDXの象徴と言えるでしょう。今年はプレゼントキャストから社名を変えて株式会社TVerとなりました。配信主体になって、配信の営業活動を行う以上の存在に飛躍するのだと思います。11月18日11:30からのCONNECTED基調講演ではTVer社長、龍宝正峰氏に登壇いただき、そのあたりを明らかにしてもらえるはずです。もうひとつ、日本テレビさんが「ライブ配信」の呼称で同時配信をTVerでスタートしたことも重要です。TVerは今後、テレビ局の新たなDXの軸になることでしょう。龍宝社長の基調講演はCONNECTEDの目玉企画です。

データ活用は放送局のDXの必須科目となる

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境:19日のセッションはデータにテーマを絞りましたね?
塚本氏:データは、いますべての局に共通の課題でしょう。DXの必須科目がデータ活用と言えますが、それはローカル局にとっても同じです。データの活用によって新しい営業活動も見えてくるはず。いままでの放送局は何十年にもわたり根性営業でやってきました。指標はGRPだけで、ある意味不完全なものでした。アナログ営業によって視聴率を超える売上さえ獲得していましたが、もうそういう時代ではないでしょう。Netflixのように配信でも地上波を超えるクオリティのコンテンツが出てきています。自分たちの価値をこれまでの営業形態で維持できないのは明らかです。データによって自分たちのコンテンツ価値を証明する必要があります。多様なデータをいろんな角度から分析してみなさんにお見せするセッションを企画しました。
境:3つのセッションをぜひ解説してください。
塚本氏:まず、奥律哉氏をはじめとする電通メディアイノベーションラボの頭脳の方々にいまの視聴傾向を分析してもらいます。それをもとに、放送局のみなさんはぜひ自分たちの展開を考えていただければ。またデータ活用ではradikoの普及でラジオが一気に進んでいます。二つ目のセッションでは、ラジオ局の方とradikoの方にそのデータ戦略をお聞きします。そして、視聴データの利活用放送分野のガイドラインが個人情報保護法で定まった一方、オプトイン・アウトの議論がいまだにあります。非特定視聴履歴をどう扱うべきかを、放送分野の利活用ルールづくりに携わった野村総研の小林慎太郎氏に解説してもらうセッションを準備しました。データをフル活用して新しいビジネスをやるのは当たり前。いつやるの?今でしょ!
境:塚本さん、そのネタはちょっと古い気が・・・(笑

他局に、他業界に学ぶDXとビジネス化

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境:20日のセッションでは多角的にビジネス化を学べそうです。
塚本氏:秋になって少し持ち直しましたが、放送局はまだまだ前年比で売上が下がっています。年度で見てもリーマンショック以上でしょう。新たな発想で放送をビジネスにつなげていくトライアルが必要です。
そこで最初のセッションは「同時配信時代のローカル局」のタイトルで、いくつかの局の具体的な事例を見ていきます。同時配信がいよいよ具体化し、放送局のビジネスがターニングポイントを迎えたいまだからこそ、果敢な挑戦が必要です。個々の事例の紹介だけでなく、今後のビジネス的な可能性を熱く語ってもらいます。
二つ目のセッションは、コンテンツのDXについて他のエンタメ業界の方々に聞いてみるものです。具体的には、松竹さんがドワンゴさんとのコラボで歌舞伎を「超歌舞伎」に進化させた事例をお話しいただきます。今年は無観客でも、画面上のコメントで「○○屋!」と声がけしてさらに盛り上がった。その開発過程をお聞きします。
最後のセッションはメディア業界に絞ったDXの事例を学ぶ企画です。講談社さんがDXで広告収入をV字回復させたこと、ニューヨークタイムズが独自のビジネスモデルで購読者を増やしたことをそれぞれお話しいただきます。同じ「メディア」業態でDXをどう成功させ成長モデルを作れたか、注目してもらいたいセッションです。

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境:二日間のセッションを通して、データ活用とDXの具体例が吸収できそうですね。
塚本:放送局のみなさんにはぜひDXを多角的に学んでもらいたいと考えています。もう発想を転換しないと生き残れない。音楽業界では昨年、世界各国が数%ながらどこもプラスだったのに対し、日本だけマイナス18%だったというデータを見ました。日本だけがリアルを守っていて、配信に後ろ向きだった結果ではないでしょうか。放送ビジネスもそうなりかねない。日本はレガシー事業者が頑張ってきた分、イノベーションが進まない傾向があったように思います。今こそ、放送業界は次へ踏み出すべき時です。CONNECTEDのセッションが、みなさんにとって踏み出すきっかけになればと思っています。ぜひご聴講ください!

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